時に見せる気の抜

一年のときに隣同士の席になった縁で仲良くなった中岡にくっついてきた三上。自然と話す機会も多くなったし、三上が見せる笑顔がとても明るくてきれいだということに気が付いていた。ふとした時に見せる気の抜けた表情がチャーミングで、眉根を寄せて真剣な眼をして問題を解いている姿に心を震わせた。
入学以来ずっと三上のすべてが俺には愛おしく感じられていた。
そんな三上がときどきすごく寂しそうな顔をするときがある。
中岡と一緒にいる時だった。
いつもの人懐っこいかわいらしい笑顔が消え失せ、途方に暮れたような頼りなさげな顔でじっと中岡を見上げていた。そんな顔を見るたびに、俺の胸は痛んだ。
もし、俺が中岡だったらそんな顔なんか絶対にさせないのに。
でも、俺は中岡じゃなかった・・・・・・
結局、あの後なにがあったのか、俺には詳Pretty renew 旺角しいことは分からない。
中岡は相変わらずだし、俺が三上と恋人同士になることはなかった。
ただ、三上があの俺の胸を刺すような表情を浮かべることはなくなった。
表面上、中岡たちが学校で一緒にいる機会は減ったように見えるが、学校の外で二人がどんなふうに過ごしているのか、俺には想像もつかない。
けど、二人の間でなにかあったのだけは確かなようだ。
二人がときどき交わす親密なアイコンタクト。お互いに離れた場所から微笑みを交換し合う。どれも今までなかったことだ。
そうして、俺は今日も三上のことを見ている。
その笑顔の中にあった屈託のようなものがきれいさっぱり消え失せていることに、心からの祝福を込めて。

分類: 愛と美しさ 發布時間:2016年08月03日