足すもの引くもの

ならば Hasenpfeffer(ハーゼンプフェファー)でも作ろかうと、年に一度見るか見ないかのレシピ本を開けたら… 
まあ材料の多いこと! 
勘と愛情と塩ととびっきりのオリーブオイルとニンニクが「さしすせそ」の私は速攻本を閉じたのだけど、なにを思ったやら??二時間後、
しぶしぶメモをして買い出しに出掛けた。
   
ハーゼンプフェッファー(直訳:ウサギ胡椒)は南ドイツのプファルツ地方のウサギ料理で、本来は野ウサギの新鮮な血を使う。
血が手に入りにくい今日、Boudin(ボゥデン、豚の血のソーセージ)と豚バラと豚ひき肉とベーコンと3種の基本野菜とハーブとスグリのゼリーとワインと調味料のたちつてとで美味しくできるのだと本にはある。誰でも簡単にできるヨ、と言わんばかりだ。
 
簡単にできるよ、と言われてすっと何かできた試しのない私は、手伝ってくれる友人がいなければとっくにさじを投げていたことだろう。

それはまあ心強いが、それでも刻んだ玉ねぎとニンジンとセロリの根だけで山盛りになる直径26センチのボールを見つめ、これでは脇役が多すぎて主役が気を悪くしないか、とにわかに心配になる。
すると人の心を読むように友人が、同様大量の豚グループを炒めたフライパンから脂だけを取り出し鉄鍋に移しながら、抑揚のある声で言う 
「野ウサギの奴らはふつうのウサギとは違い、駆け回っているからなあ」
物知りの彼のことばが胡椒となって、私の脳にふりかかる。

分類: 食生活 發布時間:2016年06月02日