デュラコラボ

下校途中。竜ヶ峰が、最近池袋界隈で頻繁に起こっているという無差別通り魔について口にすると、杏里ちゃんは食いついた。心なしかその表情は曇っていて、焦燥と不安が見え隠れしているように思える。
「い、いや、違うんだと思うんだけどね……『通り魔』で一応通っているけど、被害者は犯人について何も証言しないし、全部第三者による通告なんだって。気味が悪いよね……」
それは確かに、気味が悪い。俺は適当に相槌を打ちつつ、竜ヶ峰の話に耳を傾ける。こいつの話は基本つまらないけれど、今日はマシらしい。元々ダラーズの創始者とあってか、随分とここいらの情報通だし、こういった都市伝説的な事件なんかには特に敏感に興味を示す奴だ。
“非日常”だとか、“非現実的”だとか――そういったものに、強い羨望を抱いているようにも思える。
それは、平々凡々な竜ヶ峰帝人だからこそ、なのか。
「もしかしたら、『子』が関わっているのかも……」
杏里ちゃんが咄嗟にそんなことを口走った。俺は意味がよく解らなかったが、深く言及してはいけないような気がして、言及はしなかった。
「それより杏里ちゃん!ここの店のパフェ、超美味いらしいんだけど寄っていかね?」
タクがこないだ言っていたのを思い出し、ふと店の前で止まった。竜ヶ峰と杏里ちゃんもつられて立ち止まる。二人ともこういう店に馴染み深そうではないよな、と思っていると、どうやらそれは正解らしく、物珍しそうに店を見つめていた。竜ヶ峰は解るが、今をトキメクはずの杏里ちゃんが不慣れとは何事だ。俺の周囲には真坂といい杏里ちゃんといい、どこか女子高生らしくない女子高生が多い気がする。まあ杏里謝偉業醫生ちゃんは、そういった浮世離れしたところがステキなんだけれども。

分類: 健康文化 發布時間:2016年04月25日