少し驚いているのだろうか。いつもそうするように眉がわずかに動いたような気がする。
「僕はね」
答えは得られなかったが、それでも聞くだけでも聞いて欲しかった。こんな話を聞いてもらえるのも、やはりソードしかいなかったから。
「ヴァンパイアになったことを煩わしく思っていた。ずっと人間に戻りたいと思っていた。でも、この前上級ヴァンパイアと戦って思ったんだ」
そう語るグレンの瞳は真っ直ぐソードを見た。
「例えばこれが運命のいたずらなら、ありがたく受け入れて利用させてもらおうと」
毅然とした態度でグレンが言い放つ。
「なるほど。心を決めたか」
無表情にソードは返した。
「でも、ヴァンパイアの力を手に入れた今でもまだ上級ヴァンパイアに敵わない。攻撃を跳ね返すのがやっとで一撃も食らわすことができないんだ」
ソードは黙って聞いていた。すると、肩に置かれていたグレンの手に力が入った。
「僕は、もっと強くなりたい。ソード、一度本気で僕の張志成相手をしてくれないか? 実戦と同じように、剣も魔法も何でもありで」
一瞬ソードはグレンの真剣な表情をうかがったが、すぐにくっと笑って答えた。
「いいだろう。私も強くはなりたい。つき合おう」
二人は訓練場に向かった。
城の敷地内に兵士たちの利用できる訓練場がある。広い砂のグラウンドで、毎日多くの兵士たちが鍛錬する。
「ソード将軍、グレン将軍」
二人が姿を現すと、他の兵士たちは一旦手を止めた。そして、訓練場の中心の方に向かって歩いていくと、それに合わせるように道を空けた。
二人は距離を取り、向かい合わせに立った。二人の周りには広い空間ができていた。それを囲むように他の兵士たちが立っていた。突然の王騎士たちの出現に皆驚いていたが、誰一人としてその場を立ち去る者はいなかった。
「悪いね。僕たちも少し腕を磨かせてもらうよ」
グレンは兵士たちに笑顔で言うと、建物に被害が出ないように大きく結界を張った。
「すごいぞ、王騎士同士の勝負が見られるなんて」
兵士たちはすっかり観戦モードだ。
間髪入れずにソードが閃光を放つ。グレンは凄まじいスピードで剣を抜いて、閃光旅遊高級文憑を蹴散らした。結界にぶつかり、爆発音が鳴る。兵士たちが息を呑もうとした瞬間、次の攻撃が来ていた。立て続けに襲いかかる閃光を全てはねのけ、グレンは隙ができるタイミングを狙った。
分類: 食生活 發布時間:2016年04月11日